本研究では東北6県でグリーフケアを実践している団体で本調査に協力を同意した3団体について、ケアの実態と現在の問題点、今後の課題についてまず調査を行った。3団体のうち2団体は自死遺族に特化したグリーフケアであった。 グリーフケアの開催は1〜2ケ月に1回で、参加遺族は1〜7名とばらつきがあった。参加遺族のほとんどが女性で、多くは40〜50代であった。参加されたご遺族は「話ができてすっきりした」「安心した」という感想を述べている。 遺族ケア団体が現在抱えている問題点として、1.ケアスタッフの不足2.広報の不足3.資金不足 などが挙げられた。 また本研究では、実際の死別体験者の立ち直りプロセスを明らかにするため、自死遺族への面接の逐語記録と手記をデータとして修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析を行った。その結果、感情と認識カテゴリーでは、(1)現実を否認(2)原因追及(3)自責の念や他人への怒り(4)ネガティブに解釈してしまう(5)徐々に故人を許し、認め、現実を受容する(6)悲嘆となんとかうまく付き合っていける(7)思考変容という過程が見られた。一方、行動と認識カテゴリーでは(1)外界の遮断と孤立(2)援助希求(3)孤立からの脱出(4)経験の社会化(5)新たなアイデンティティという過程が見られた、この過程は行きつ戻りつ、反復しながら進んでいくということが明らかとなった. 今回の調査は自死遺族に限定されたものであったが自死遺族のグリーフケアに関しては自殺対策基本法を受けてここ最近発展してきた分野であり、今回の分析は今後の自死遺族のケアに寄与するものと考える。今後は他の死別体験との比較を行い、さらに死因別に焦点を当てた効果的な援助を考察していく必要がある。
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