研究概要 |
本研究では東北6県でグリーフケアを実践している団体で本調査に協力を同意した3団体について、ケアの実態と現在の問題点について19年度に調査を行った。その調査結果をふまえて,グリーフケアを提供するとともに同意の得られたご遺族の話を分析した。インタビューは計25名のご遺族から許可を頂いたが,研究結果としての公表を拒否されたご遺族が21名で本研究では4名の遺族の話を分析した。 まず,グリーフケアに参加する遺族の属性として,9割が女性であるということから本研究の対象者も女性のみでとなった。調査対象者はそれぞれ,事故・病気・自殺で身内を亡くされた方であった。事故で身内を亡くした遺族は事故の原因となった加害者への怒りや社会への怒りが強く見られた。また,自殺で家族を亡くした遺族は犯人探しをする傾向がみられ,他罰的な言動も多くみられた。死因を問わず,どの遺族にも自責の念が見られ,サバイバー・ギルトが顕著であった。また,親を亡くしたケースは比較的その受容が早いのに対し,子供を亡くした親は悲嘆のプロセスに長い経過を要する傾向が見られた。以上の結果から,グリーフケアはそれぞれの死因別・亡くした対象の属性などが遺族心理のプロセスに大きな影響を与えており,それらを考慮した個別的なグリーフケアが必要であることが示唆された
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