研究目的:がん告知、手術による乳房変形・喪失、その後の治療などさまざまな状況を体験していく乳がん手術患者がどのような回復の過程を辿るのかをボディイメージに焦点をあて明らかにし、回復を促進する看護ケアを検討することを目的とした。 研究方法:乳がん告知を受け、乳房手術を初めて受ける成人期にある女性で、研究同意の得られた10名を対象とした。「現在の自分の身体・乳房に対する思い・考え」をテーマに半構成的質問ガイドを用い、術前、術後退院前(初回外来時の場合有)、術後3ヶ月、術後6ヶ月、術後12ヶ月を目安として5回の面接調査を行った。分析は面接内容を逐語録とし、類似した意味内容に沿って質的帰納的に漸次、集合体を作り、最終的に抽出されたカテゴリの関係性を考察していく。 結果:対象者10名は、術後12ヶ月までの面接を終了した。 1.対象者の背景;(1)年齢は40歳から57歳、平均年齢49.8歳、(2)術前化学療法施行者は5名、(3)術式は乳房温存術9名、乳房切除術1名、(4)術後治療として化学療法施行1名、放射線療法施行7名、ホルモン療法施行6名(併用あり)。 2.ボディイメージと回復過程;各面接ごと、各対象者ごとに分析を進めた結果、全過程においてボディイメージを形成する要因として、身内・知人のがん体験、乳がんという現実味・実感、乳房への思い入れ・価値、身体の異和感、生活への支障、退院後の生活、不確実感が抽出された。乳がん手術患者のボディイメージは、これらの要因が影響しあって形成されていくことはわかったが、どのようなボディイメージを、どのような過程として持つのかは、術式、術前化学療法、術後補助療法の種類など術後経過の背景などを吟味し分析中である。
|