平成21年度は、都道府県がん診療連携拠点病院の化学療法科にて研究を実施した。研究デザインは介入研究で、クロスオーバーデザインとした。対象は、悪性リンパ腫の患者でR-CHOPのレジメンの2クール目と3クール目の化学療法を施行する者とした。方法は、化学療法2日目にクライオセラピーを行なった。同一患者に1クールはクライオセラピーを施行し、別の1クールは施行せず、2つのクールにおける口内炎の判定・症状の有無を観察し、クライオセラピーの効果を評価した。メインアウトカムは、口内炎の発生とし、評価はチェックリストによる自己評価と歯科医師による口内炎の評価を化学療法施行前、施行後14日目の口腔内の状態をNCI-CTCのスケールを使用して行なった。また、サブスケールとして、SF-36を使用し、患者のQOLの変化についても観察を行なった。 倫理審査は大学の倫理委員会と実施施設の倫理委員会で行い、許可を得た。本研究は化学療法科の医師と歯科医師、看護師の協力を得て実施した。 平成21年度は4例の対象者に実施し、クライオセラピーを行なった場合とそうでない場合の比較を行なった。どちらの場合においても、口内炎は発生しなかった。SF-36の結果からは、対象者は2クールよりも3クール目のほうがQOLが低下傾向であった。 先行研究では、R-CHOPの患者において30~70%の口内炎発生の報告もあったが、今回の対象者が2・3クール目と比較的早期であるため発生率が低値である可能性が考えられた。しかし、R-CHOPは3クール目で終了する場合もあり、時期については同様の時期とし今後症例数を増やして解析を進めていきたいと考える。
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