光照射による光感受性リンカーの開裂に依存したフルオレセイン蛍光の放出を検証する目的でσニトロベンジル型光感受性リンカーを用いたFRETモデルペプチドの合成を行った。クロロトリチル樹脂上に保護ペプチド鎖(5残基)をFmoc法にて構築後、別途合成した側鎖にDabcylを有するFmoc-Lys(Dabcyl)-OH、σニトロベンジル型光感受性リンカー、フルオレセインの順に縮合を行なった。その後、樹脂を95%TEAで処理し、側鎖保護基の脱保護と樹脂からの切り出しを行い、逆相HPLCで精製することにより目的のモデペプチド得た。今後、本モデルペプチドのERET効率の測定を行い、Pepducin機能ドメインの細胞内移行の解析に応用する。また、より優れた反応性を有する光感受性リンカーの開発を目指し、以前に著者らが報告したジメチルアミノフェナシル型光感受保護基の誘導体の合成と評価を行った。フェナシル基芳香環へのメトキシ基の導入やナフタレン環構造での置換を行い、Cbz-Gly-OHのエステル体として光反応性を評価した。合成した新規光感受性保護基は光照射(hv>300nm)によりCbz-Gly-OHを放出することが明らかとなったが、既知のジメチルアミノフェナシル型光感受保護基より光切断反応速度は低下した。これら化合物の反応性の差は化合物ごとのλmaxの差異に起因する可能性も考えられるため、今後は、より長波長の光を用いた光切断反応による評価を行う予定である。
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