研究概要 |
(1)アルドース還元酵素(AR)類似酵素遺伝子のリコンビナント酵素の発現と精製、基質特異性の比較 AR類似酵素3種(R1B7、R1B10、AKR1B13)のcDNAから各リコンビナント酵素を大腸菌の系で発現し、均一に精製した。 AKR1B13はNADPHを補酵素とし、アルデヒド類を幅広く還元し、また、9,10-フェナンスレンキノンを高い触媒効率で還元した。また、AR阻害剤に阻害され、ゾポレスタットのIC_<50>値は25nMと最も強い阻害を示した。これらの性質はAKR1B13と95%の相同性を示すAKR1B8のものと類似した。一方、R1B7とR1B10はアルデヒド類やカルボニル化合物をほとんど還元しなかった。 (2)ラット還元酵素の構造機能相関 3α-HSDであるRAKbは^<24>Tyrを3α/17β/20α-HSDであるRAKdの相当する残基Serに置換することで、3α-HSD活性が上昇し、17β-,20α-HSD活性は低下した。^<24>Tyrに加えて^<128>Asp、^<129>PheをRAKdの対応する残基に置換すると、ほぼRAKdと同じステロイド選択性を示した。また、RAKbの^<128>Asp、^<129>Pheに加えて^<137>Serを17β-HSDであるTBER1の対応する残基に置換したところTBER1とほぼ同様の選択性を示した。結果、ステロイド選択性には24番目の残基が重要で、補足的に128、129番目の残基が関与していることが示唆された。 (3)ラット還元酵素の組織分布分析 14週齢ラットの各組織(脳、肺、心臓、胃、肝臓、腎臓、副腎、小腸、大腸、精巣/卵巣)についてRT-PCRにより各還元酵素の発現を検討した。R1B7は雄では副腎特異的に発現し、雌では副腎に加えて肝臓でも発現を確認した。その他の酵素においては臓器間での発現に差がみられるもののほぼ全ての組織において発現が確認された。
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