研究概要 |
骨靱帯結合部の自家移植材の作成技術の確立 去年の研究にて腱内骨化とenthesisの構築が可能となったので、臨床に直結した動物実験モデルを研究した。前十字靭帯再建術で有用とされている膝蓋腱(bone-tendon-bone)を模写したモデルの構築を行った。白色家兎のアキレス腱に対してrhBMP-2を2箇所に注入した。注入するBMPの量を0,15,30,60μg、注入後経時的に3,4,6週でレントゲン撮影を行った。レントゲンで良好な骨形成が見られた時期に屍殺し組織切片を作成した。白色家兎の半腱様筋に同様な操作を行い、アキレス腱と同じく骨形成がなされるかを検討した。 予定された部分に骨化させるためのナイロン糸4針結紮をしなければ2箇所の骨が1塊になることがたびたび観察された。よって骨化予定部分にナイロン糸で結紮し、その間にBMPを注入、20分静置した後ナイロンを解いて閉創した。BMP注入後3週から骨化が見られ6週で十分な骨化が確認できた。30ug群において最適な骨形成か確認された。一箇所につき30ug注入し待機期間を6週として、前十字靭帯再建術を計画した。しかしながら、実際の手術中においてアキレス腱に作成したBone-Tendon-Bone自家移植材料はウサギ膝前十字靭帯よりも相当太く、問題であった。臨床現場ではアキレス腱より半腱様筋を用いる靭帯再建術が一般的であるために、半腱様筋腱に対してアキレス腱と同様にナイロン結紮後rhBMP-2を2箇所15、30ugずつ注入したところ、6週の15ugで良好な骨形成があり、移植材料として最適な大きさであった。よって以後の実験に半腱様筋腱にrhBMPを注入、再生Bone-Tendon-Boneを作成し、これを用いた前十字靭帯再建術を試行している。
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