今年度は、社会復帰プログラムに基づき対象者に看護面談を実施し、面談の結果の分析に着手し始めた。研究成果の概要は以下の通りである。 1.看護面談の結果:9名(男性4名、女性5名)の研究参加者の協力が得られ、看護面談を実施した。9名中3名が再発し、6名は社会生活継続中である(現在面談継続中の対象者も含む)。 2.社会復帰プログラム実施の効果:看護面談が終了した対象者のうち2名の分析が終了し、プログラムの効果を検討した。 (1)対象者A氏の経過分析を行い、プログラムの効果を検討した結果、セルフケアに関する自己アセスメント能力の向上が見られた。自我強度に関しては、退院後6ケ月目の時点で、低下がみられた。これは、面接内容の結果から外的刺激から自己を防衛した結果であることが伺われた。その後、アセスメント能力の向上に比して自我強度得点の上昇がみられた。(北海道医療大学看護福祉学部学会第4回学術大会で成果を発表) (2)対象者A氏と再発に至ってしまったB氏の経過の比較分析を行った。両者の比較から、「自己洞察力の強化」と「キーパーソンとの連携」が本プログラムの結果に影響することが明らかになった。(北海道医療大学看護福祉学部学会誌に2008年5月頃掲載予定) 3.自己洞察力の強化に向けて 自己洞察力を高めるには「語りの場」としての機能が効果的であることが先行研究で示されている。そこで、今後の看護面談では、語りの場としての機能を活用する機会の導入について検討し、プログラム実施の効果を高めていく必要性が明らかになった。 4.キーパーソンとの連携 本プログラムの実施において、対象者のみならず対象者を支えるキーパーソンと目標を共有することが、より効果的であることが明らかになっている。従って、今後の面談と並行し、キーパーソンと目的を共有する場の設定を含める必要性が、プログラムの効果を高める上で必要であることが明らかになった。
|