今年度は本研究最終年度にあたり、前年度の引き続き、社会復帰プログラムに基づき対象者に看護面談を実施し、面談の結果の分析を進めていった。研究成果の概要を以下に述べる。 1.看護面談の結果:前年度の対象者9名に加え、更に新たに2名の研究参加者の協力が得られ、看護面談を実施し、終了した。全対象者11名のうち、3名が再発し、1名が途中辞退にて面談を修了している。 2.社会復帰プログラム実施の効果:看護面談が終了した対象者のうち、6名の結果の分析が終了し、プログラムの実施の効果を検討した結果、以下の4つが明らかになった。 (1)対象者の中で、再発したものと再発せず地域生活を継続できたものを比較検討し、「自己洞察力の強化」と「キーパーソンとの連携」が本プログラムの結果に影響する。 (2)対象者の面接経過を生活体験の特徴という観点から分析した結果、「対処策を自ら考える」「病気に対する特有の理解」「深まりにくい自己洞察」「幅広い不安」「行動の固定化」「こだわり」「理性と感情の乖離」という7つの特徴が見出された。 (3)自己洞察の観点から、経過の分析を進めた結果、看護面接が語りの場を提供する機会となり、対象者の自己洞察を深めることができることが明らかになった。 (4)統合失調症再発者の回復過程を支える看護介入の方法として、「患者主体の目標設定」「語りあう機会の提供」「繰り返し語りの場の提供」「感情面と行動面の乖離を埋める」という4つが見出された。
|