うつ病の予防や回復には、本人の価値観や生き方の転換が必要であることが指摘されている。 本研究の目的は、うつ病の回復過程における価値観や生き方の変化を「状況構成」という視点を用いて具体的に捉え、その特徴を明らかにすることである。「状況構成」とは、自己や他者、仕事など身の回りの事柄に対するそれまでの関わり方のことをさす。 今年度の研究実績の概要は以下の通りである。 1.うつ病者の復職支援を積極的に実施している精神科クリニックのグループワークに参加し、うつ病者のおかれておる状況や回復過程における状況構成の変化を観察した(継続中)。同時に、患者会の立ち上げに関与した。 2.現在、対象者への個別インタビューにより、データを収集中である。 今後の課題は、これまでの研究結果(以下3点)に基づき、新たに発見される「状況構成」の変化の特徴の有無を検証することである。 1.仕事優先の生活から身体を含む自己と和解し、自分の健康や趣味を中心とした生活へ変化していた。 2.職場やその他の対人関係を断っていた。 3.ありのままの自分を吐き出せる「受け止め」としての役割をとる家族や職場環境が存在していた。
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