本研究ではます、実験動物に高脂肪食を摂取させ、インスリン抵抗性を呈するモデル動物の作成を試みた。この際高脂肪食により摂食のパターンの日内リズムが変化すると、この変化自体が時計遺伝子発現に影響してしまうため、本研究では、通常よりも変化しないように、既報で使用されている脂肪含量よりも低濃度(28%)に設定して飼料を作成した。高脂肪食を摂食させると経時的に血糖値とインスリン値の上昇は認められたが、インスリン抵抗性発症に関る時計遺伝子を同定するには至っていない。研究では実験を効率的に行うため、本研究では"朝遺伝子"の発現量を特定の時刻において測定したが、そこで来年度も引き続き、"昼遺伝子"および"夜遺伝子"についても高脂肪食による時計遺伝子発現プロファイルの変化を検討する。さらに1日2回以上の時刻で遺伝子発現を測定し、「体内時計」の評価も行う必要があると考えられた。 また平成20年度には、時計遺伝子がエネルギー代謝調節遺伝子の発現を調節しているか否か検討する予定である。その際、ルシフェラーゼレポーターアッセイにおいて時計遺伝子発現ベクターが必要となるため、今年度中から作成を開始している。10種類の発現ベクターを作成予定であり、来年度も引き続き行っていく。
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