研究課題
われわれはこれまで、糸球体上皮細胞(ポドサイト)のアクチン骨格に特異的に発現する蛋白であるSynaptopodinの遺伝子を用い、yeast two-hybrid screeningを施行することにより、Synaptopodinの蛋白機能解析を行い、α-actinin4とIRSp53がSynaptopodinと結合しポドサイトのアクチン骨格再構成にかかわっていることin vitroで示してきた。現在、それらの現象が、in vivoにおいても何らかの役割を担っていることを確認することを目的に、アドレアマイシン(ADR)を使用したマウスのネフローゼ・糸球体硬化モデルの確立を行った。ADR腎症マウスの組織学的検討によりネフローゼモデルとしてだけではなく、糸球体硬化モデルとしても有用であることを見つけた。また、その糸球体硬化の原因が、ポドサイトのアポトーシスと糸球体基底膜からの脱落によるものであることin vitroとin vivoで確認した。さらに、このポドサイトのアポトーシスが引き起こされる機序が、スリット膜蛋白の一つであるdendrinがスリット膜の裏打ち部からポドサイトの核に移行することにより誘発されることを見出している。さらに、ヒト腎疾患についてのdendrinの発現を確認するため、ヒトdendrinに反応する抗体の作成を行った。その抗体を用い、ヒト腎疾患に対して免疫染色を行ったところ、障害の程度のよりdendrinがスリット膜から核へ移行しうることを確認している。現在、作成中の遺伝子改変マウスへこのモデルを使用し、ポドサイトのアクチン骨格の変化を検討している。
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