研究概要 |
昨年度に確立したラット経管飼育方法を用いて、(1)P7から経管のみ:T07、(2)P7から経管、P16から経口摂取:TF7、(3)P9から経管のみ:T09、(4)P9から経管、P16から経口摂取:TF9、(5)P11から経管のみ:T011、(6)P11から経管、P16から経口摂取:TF11、(7)P21まで継続して経口摂取:Contという経口摂取方法を変化させた7群を設定し、実験を行った。P21ラットの脳幹部を厚さ50μmに薄切し、光学顕微鏡にて舌下神経核(XII)、延髄孤束核(NTS)における神経活動を観察した。観察では、Fosをマーカーとした免疫染色を行い、光学顕微鏡陽性と判断された細胞(FI細胞)の数により神経核における神経活動の指標とした。通常の離乳を経て摂食機能が成熟したラットでは、吸畷・摂食に伴うXIIにおけるFI細胞数は減少傾向にあることが知られている。対照群では他の報告と同様にFI細胞は少ない数値を示したが、胃瘻による経管栄養を行っていた6群ではいずれも高値を示した。 NTSにおけるFI細胞数では、経口摂取を行っていない3群のラットでは著明に低い値を示した。一方、経管栄養から経口摂取に変更したラットでは、対照群と同様の数値を示した。 以上の研究結果から、離乳期ラットにおいて,経管栄養のみで飼育することにより,摂食・嚥下に関連する神経核における神経活動に変化が生じるとともに,離乳期後半において経口摂取を再開することでその変化が解消される可能性が示唆された。
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