本研究の目的は、都市部の多世代交流型デイプログラムの参加者である高齢者と子どもとの世代間交流がどのような過程を経て形成されるかを質的に明らかにし、どのような支援が世代間交流を促進しているかを明らかにすることである。 まず、世代間交流を促進する支援についてオハイオ州クリーブランドのThe Intergenerational School を視察し、異なる世代の人たちは互いに学ぶべきという世代間交流学習理念、教育媒体、教育方法、環境について示唆を得た。またPeter Whitehouse氏ほかスタッフの話を聞くことにより、世代間交流を促進する方策について見聞を広めた。 世代間交流の形成過程について質的に明らかにするという問いに対して本年度は、デイプログラムの参加観察によって、また世代間交流を高齢者がどのように受けとめているかなどを聞いたグループインタビューによって、世代間交流の形成過程の分析を進め、一部明らかにした。デイプログラムスタッフへのインタビューも行っているため、今後それらの分析とともに子どもへのインタビューも進め、世代間交流の構造化を図る。学会では参加者からスタッフが看護師である特徴があるのではないかとの意見があり、世代間交流の目的をどこにおくかという点も世代間交流の構造上に必要なものであるという示唆を得た。 次年度は、今年度に引き続き世代間交流の構造化を図るとともに世代間交流を促進する支援について文献検索と全国の世代間交流支援者に対するインタビューをすすめ、支援技術のカテゴリ化を行う。
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