前年度までに(+)-ophiobolin Aが有するすべての不斉中心を効率的に導入することに成功しているため、本年度は本不斉全合成における最も解決困難な問題、8員環の構築を最重要課題とした。研究の結果、C5位2級水酸基の保護基であるTBDPS基の嵩高さが環化反応に大きく影響していることを見出し、保護基を嵩の小さいMOM基へと変換した基質の閉環メタセシスを行うと、期待通り8員環環化成績体を得ることができ、C14位オキサスピロ環を含む5-8-5員環が縮環した(+)-ophiobolin Aの4環式骨格の構築に世界で初めて成功した。今後は、アリル位の酸化による水酸基の導入、D環側鎖の伸長および脱保護、酸化の工程を経ることで、(+)-ophiobolin Aの世界初の不斉全合成を達成することが強く期待される。
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