研究概要 |
本研究は,小児において歯ぎしりと睡眠の質を評価し,その歯ぎしりに潜在すると考えられる日中の認知・注意に関する行動を適正に保つ機能の存在を検討することを目的としている。本年度は,睡眠習慣,歯ぎしりと睡眠健康に関する大規模調査を実施した。山梨県郡部および東京都品川区の小学校に通う小学生を対象とし,アンケート調査により児童らの睡眠習慣および睡眠健康を評価した。同意の得られた児童については,歯牙模型より作成した簡易歯ぎしり評価装置(Brux Checker)を一晩装着させ,本装置剥離部と歯牙模型上の形状変化から,mild bruxism(includesnone)群,およびsevere bruxism群に分類して検索した。その結果,低学年児童の睡眠時間は,東京都の調査の方が長い傾向にあった。また,両地域で,低学年の児童ほど歯ぎしりが多く確認される傾向が見られた。歯ぎしり評価装置(Brux Checker)の群分けとアンケートをマッチングさせた結果によると,睡眠の維持が良く熟眠度の高い児童ほど高頻度に歯ぎしりをしていることが明らかとなり,歯ぎしりと熟眠度との間に何らかの密接な関連があることが示唆された。これらの結果は,学会において随時発表を行った。次の課題はempiricalなデータによる,その推測の直接的な証明を行うことである。したがって,小児の歯ぎしりと精神的負荷および睡眠習慣に関する直接的な証拠を得るための精神生理学的実験を開始した。
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