研究概要 |
本研究は,小児において歯ぎしりと睡眠の質を評価し,その歯ぎしりに潜在すると考えられる日中の認知・注意に関する行動を適正に保つ機能の存在を検討することを目的としている。本年度は,昨年行った大規模アンケート調査の結果を踏まえ,直接的に,生理学的証明を行うことを目的とし,小児の歯ぎしりと精神的負荷および睡眠習慣に関する精神生理学的実験を開始した。十分なインフォームド・コンセントの後,同意の得られた児童については,脳波,筋電図,心電図を総合的に用いた測定を行った。日中の行動は,活動量計によるモニタ,および保護者を対象とした小児の行動に関するアンケートを実施した。また,歯牙模型より作成した簡易歯ぎしり評価装置(BruxChecker)を一晩装着させ,本装置剥離部と歯牙模型上の形状変化から歯ぎしりのパターンを推測した。就寝直前に精神的負荷を与えた場合と負荷のない場合で比較したところ,就寝前の活動が有意に就寝中の自律神経系活動に影響を及ぼしていることが明らかとなり,睡眠の質や小児歯ぎしりとの間に何らかの密接な関連があることが示唆された。これらの結果は,学会において随時発表を行った。
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