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2008 年度 実績報告書

心室伝導障害治療に向けた心線維芽細胞における電位伝導機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 19890237
研究機関愛知学院大学

研究代表者

波多野 紀行  愛知学院大学, 薬学部, 講師 (50454319)

キーワード心線維芽細胞 / 電気生理学 / カルシウムイオン / 心不全 / 不整脈 / イオンチャネル
研究概要

心線維芽細胞は心筋の近傍に位置し、常時物理的な刺激に曝露されている細胞である。また心肥大のような病態時にはより強い物理的刺激にさらされると考えられている。そこで、心線維芽細胞に発現しているイオンチャネルの中でも伸展や浸透圧といった物理的刺激により機能が制御されるイオンチャネルに注目して研究を進めた。
TRPV4は低浸透圧刺激により活性化することが知られているイオンチャネルである。まず心線維芽細胞におけるTRPV4 mRNAおよびタンパク質の発現を明らかにした。次に心線維芽細胞に低浸透圧刺激を与え、細胞内Ca2+濃度が有意に上昇することを見出した。この細胞内Ca2+濃度上昇は細胞外Ca2+を除去することにより消失し、TRPVチャネル非選択的阻害薬ルテニウムレッド(RuR)によっても抑制された。またTRPV4選択的アゴニストである4αPDDを投与すると細胞内Ca2+濃度の上昇が観察された。この4αPDD誘発細胞内Ca2+濃度上昇も細胞外Ca2+除去やRuR処置によって抑制された。次に細胞外から流入するCa2+を直接測定するため、心線維芽細胞にパッチクランプ法を適用した。電位固定下、4αPDD投与により非選択的カチオン電流の活性化が観察された。この4αPDD誘発非選択的カチオン電流はRuR処置により抑制された。またTRPV4を選択的にノックダウンするsiRNAを心線維芽細胞に処置した結果、4αPDD誘発非選択的カチオン電流および4αPDD誘発細胞内Ca2+濃度上昇は有意に減少した。これらの結果は心線維芽細胞においてTRPV4が機能発現していることを明示している。
心線維芽細胞の細胞内Ca2+動態に関する知見は少なく、今回の結果は大きな意義があると考えられる。また、この研究を進展させることで、心線維芽細胞における細胞内Ca2+濃度上昇と分化・増殖の関係が解明されると期待される。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2008

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] TRPV4-like non-selective cation currents in cultured aortic myocytes.2008

    • 著者名/発表者名
      Rhoichi Tanaka
    • 雑誌名

      Journal of Pharmacological Sciences 108

      ページ: 179-189

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Cel-culture-dependent change of Ca2+ response of rat aortic myocytes to sphingosine-1- phosphate.2008

    • 著者名/発表者名
      Ryoichi Tanaka
    • 雑誌名

      Journal of Pharmacological Sciences 107

      ページ: 434-442

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Regulation of vascular tone by purinoceptor-activation in vascular smooth muscle and endothelial cells.2008

    • 著者名/発表者名
      Yuka Itoh
    • 雑誌名

      AICHI-GAKUIN Journal of Pharmaceutical Sciences 1

      ページ: 31-37

    • 査読あり
  • [学会発表] ラット心線維芽細胞におけるTRP channelを介したCa2+流入2008

    • 著者名/発表者名
      波多野紀行
    • 学会等名
      第54回日本薬学会東海支部総会・大会
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      2008-07-05

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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