研究概要 |
本研究の目的は、細胞死におけるHRD1の関与とそのメカニズムを明らかにすることである。 関節リウマチ患者由来滑膜細胞株MH7Aを糖鎖付加阻害剤のツニカマイシン(Tun)あるいはCa^<2+>-ATPase阻害剤のタプシガルギン(Tg)で刺激を行い、小胞体ストレスによる細胞死について検討した。どちらの刺激においても濃度依存的な細胞死が誘導された。Tunによる小胞体ストレスの誘導についてCHOP/GADD153タンパク質の発現上昇により確認した。小胞体ストレスによる細胞死へのHRD1の影響について検討するため、HRD1を高発現する安定株(MH7A-HRD1)を作製した。MH7A-HRD1細胞において0.1μg/ml Tunによる細胞生存率は、野生型と比較して約2倍に上昇した。一方1μM Tg処理をした場合、MH7A-HRD1細胞の細胞生存率は野生型より約25%減少した。以上の結果から、HRD1は糖鎖付加阻害、小胞体カルシウムイオンの枯渇により誘導される細胞死に関与し、その働きは異なっていることが示唆された。この成果に関しては現在論文作成中である。 また、過酸化水素(H_2O_2)による新規の平滑筋弛緩メカニズムについて、ファルマシア誌において紹介した。(ファルマシア,44,2008)
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