研究概要 |
平成20年度は,19年度の研究結果をもとに,具体的な抑うつ予防プログラムの試案づくりに取り組んだ.国内外の抑うつ予防の取り組みについて文献検討を行い,プログラムに必要な要素を抽出した.日本では,抑うつ予防は自殺対策の一環として実施されている地域が多い.その中でも,秋田県では,うつ病の早期発見・早期治療のための体制づくり,市町村,職場,学校における自殺予防対策の強化等が行われている.また,官・学・民が一体となり,うつ対策に取り組むという極めて先進的な取り組みも実施されている. この取り組みをもとに,プログラムに必要な要素として,スクリーニング,啓発活動,健康教育,心の健康相談,地域連携システムづくり等を挙げた,更に,それぞれの活動において,「独居高齢者」「生きがいづくり」の視点から介入方法を検討した.うつのスクリーニングを実施する際,一般的な基本健康診査に加え,独居高齢者が多く集まる給食会等を活用することや民生委員へ協力を求めていくことが挙げられる.また,健康教育では,独居高齢者がストレスに積極的に対処できる方法を学ぶ機会を設けるとともに,うつに関する知識の普及を図る.更に,健康教室を発展させた自主組織活動や地域のインフォーマルサービス資源の活用を図り,独居高齢者の生きがいづくりや孤立予防に向けた取り組みを実施する.これらの取り組みを実施するためには,保健師や看護師,精神保健福祉士,社会福祉士,民間組織など多職種が連携し,適切な地域介入を行う必要がある.今後は,開発されたプログラムをもとに介入を実施し,その効果を検証する.
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