研究概要 |
本研究では、脳病態時におけるエンドセリンの役割について、脳浮腫関与因子の一つであるアクアポリン(AQP)の発現および機能変化について着目して研究を進めており、平成19年度において、エンドセリンがin vivoおよびin vitroにおいてアストロサイトのAQP発現を抑制することを明らかにしてきた。そして平成20年度では以下の知見が得られた。 1. エンドセリン処置したアストロサイトにおいて、低張液による浮腫の程度が減少していた。 2. ラットの脳内にエンドセリンETB受容体アゴニストを投与すると大脳皮質においてAQP4mRNAと蛋白の発現量が減少することを明らかにした。 平成19年度に得られた知見と上述のデータから、脳障害時のエンドセリンシグナルの活性化は、プロテアーゼやケモカインの産生を促進し、障害組織の修復をうながす一方で、アクアポリンの発現量を抑制することで、浮腫の発生を抑制する可能性を示した。 以上の結果を日本神経化学会と日本薬学会で発表した。 さらにエンドセリンの作用を追求していく中で以下の知見が得られた。 3. マウス脳微小血管内皮細胞株であるb.End3において、タイトジャンクションプロテインのJAM, ESAM, claudin-1, ZO-2のmRNAsがエンドセリンにより増加することを明らかにした。このことからエンドセリンが血液脳関門におけるタイトジャンクション形成を制御する可能性を示した。 以上の結果を日本薬理学会で発表した。
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