研究概要 |
虚血性網膜血管新生が起因となる眼疾愚、特に未熟児網膜症(ROP;retinopathy of prematurity)や糖尿病性網膜症は、中途失明の大きな原因となっており、その発症機序の全容解明および治療標的の開拓が求められている。新規生理活性物質apelinは、オーファンGPCR:APJの内因性リガンドとして同定されたペプチドであり、これまでに生理的な網膜血管形成に促進的に働く因子であることを見出した。このことから、網膜血管新生が起因となる眼疾患発症に内因性apelinが関与しているあかを明らかにすることを目的とした。まず、本年度は、マウスROPモデルの作製および評価系の確立を行った。生後7日齢(P7)のC57BL/6マウスを母マウスと共に75%酸素条件下に5日間暴露し、その後、通常大気下で0,3および5日間(P12, P15,P17)飼育した。その後、麻酔下で心臓からfluorescein isothiocyanate(FITC)-dextran(M.W.2,000,000)を灌流し、網膜フラットマウントの蛍光画像を取得し、解析を行った。P12では、通常飼育しているマウスでは、網膜に閉める血管の割合が約35%であるのに対してROPモデルでの割合は約7%にまで低下していた。P15、P17では、その割合が約30%にまで回復してきていること、その血管新生では、本来の視神経乳頭から遠心性で形成される血管が逆行性に形成されていることが明らかにした。今後は、このモデルにおけるapelin遺伝子欠損マウスの表現型を解折する。
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