肝癌細胞HuH-7細胞をアデノシン処理するとアポトーシスを誘導する。アデノシン単独処理とAMPKの活性化剤AICAR処理とアデノシン同時処理との間の細胞死に変化がないことより、アデノシンはAMPKの活性化を介してアポトーシスを誘導していることが判明した。アデノシンがAMPに変換されてAMPKを活性化しているのかについて考察した。その結果、アデノシンはAMPに変換され、AMPKのリン酸化レベルを高めることで、ミトコンドリアの膜電位の低下に関与していることが明らかとなった。AMPKのドミナントネガティブ体を過剰発現させた後、アデノシン処理をしてもミトコンドリア膜電位が低下しないことから、ミトコンドリアの膜電位低下にはAMPKの活性化が必要であることもわかった。膜電位を制御しているBclファミリーの発現変化に着目したところ、Bcl-XLの発現が著しく低下していた。Bcl-XLを過剰発現することで、アデノシンによるミトコンドリア膜電位の低下が抑制された。また、ミトコンドリア内からDIABLOがミトコンドリア内から細胞死へ漏出していることも明らかとなった。漏出したDIABLOがカスパーゼ3の活性化を抑制しているc-IAP2を抑制することより、c-IAP2を過剰発現させたところ、アデノシンの効果が抑制された。結果、アデノシンはAMPKの活性化/Bcl-XLの発現低下/DIABLO漏出/c-IAP2抑制/カスパーゼ3活性化/アポトーシスの経路が示唆された。
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