研究概要 |
現在までに、放射線照射の創傷治癒への影響を観察するため、ラット及びマウスに放射線照射を行い、放射線性難治性潰瘍モデルの作製及び脂肪組織由来間質細胞移植の効果について検討を行っている。 始めラットを用いて、鉛の遮蔽板から皮膚をつまみあげて15Gy,30Gy,50Gyと照射し、潰瘍の作製を試みたが、いずれの照射量でも皮膚潰瘍は作製されるものの、潰瘍の大きさ、深さなどについて定量性にとぼしく、その後の脂肪組織由来間質細胞移植による創傷治癒効果の解析を行うことができなかった。 このため、マウス背部皮膚を弁上に挙上し、皮弁以外は鉛板で遮蔽し、皮弁のみに照射し、同時にデルマパンチで穴をあけ同じ大きさの潰瘍を作製、ここに細胞を移植するという方法を試みた。しかしながらこの方法では皮弁自体が壊死することや、皮弁下にHematomaが生じるなどして、個体間での条件をそろえることが難しく、やはり解析を行うことができなかった。ただし、放射線照射のマウス皮膚への影響の基礎データを得ることができ、照射量や細胞移植時期の検討を行うことができた。また、DiIラベルした間質細胞の移植についても基礎検討を行い、組織標本で移植細胞を観察でき、また免疫組織染色にて周囲組織におけるbFGFやVEGFなどの種々のGrowth Factorの観察ができた。 現在は上記モデルの欠点を補うべく、マウス大腿に20Gyの放射線照射を行い、照射後3週間で1×10^6/100μlPBSの細胞移植を行い、創収縮の観察や、免疫組織学的検討を行っている。
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