一般病棟における終末期看護の実践において、死と向き合った上でのケアや患者を看取る家族に対する支援が十分ではない現状にあることから、一般病棟における末期がん患者と家族のQOL向上のためのケアの検討は緊急の課題となっている。本研究は、平成19〜20年度を通して、ケアの実践に関連する要因の特定を目的に研究を進めてきた。 特に、平成20年度は、1.終末期看護におけるエキスパートナースに対するインタビューの継続とインタビュー内容の質的分析によるケア実践の関連要因の抽出、2.質的分析から抽出されたカテゴリーに基づいた質問紙の作成と調査を実施し、下記の成果が得られた。 1. エキスパートナースに対する面接調査:終末期看護領域におけるエキスパートナースである、がん看護専門看護師4名に対し、看取りケアの実践に関与する要因についてインタビューを実施し、面接調査は終了とした。インタビュー内容を内容分析した結果、「価値観」「役割意識」「情報の共有」「チームの価値観」「症状緩和/家族看護/社会資源/理論に関する基本的知識」「コミュニケーションスキル」「個人の体験」が関連要因として明らかとなった。この成果は、2009年9月に開催される、第1回World Academy of Nursing Science学会で発表する予定である。 2. 質問紙調査:質的分析の成果を基に、看取りケア尺度、ターミナルケアに対する態度尺度、死生観尺度、コミュニケーション尺度を含む質問紙を作成し、質問紙調査を実施した。回収が終了次第分析し、上記の関連要因の関係性、関連の強さなどを検討していく。成果は随時、学会発表し、論文にまとめていく予定である。
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