研究概要 |
歯牙欠損を有する患者へのインプラント治療法は,現在最も予知性の高い歯科補綴治療法の一つである。近年,ビスホスホネート服用中(特に,静脈内投与中)の患者に対するインプラント治療を含む歯科治療により,顎骨壊死が発生する症例が次々に報告され,bisphosphonate-related osteonecrosis of the jawsという特別なカテゴリーが設定され,その対策が米国をはじめ欧州、豪州で緊急報告されている。 研究代表者は,"下顎骨は他骨に比べ,ビスホスホネート服用中に分子間架橋の異常な骨コラヘゲンが蓄積するため骨質が劣化し,その事ガインプラント治療時の顎骨特異的壊死の一要因にとなる"と仮説を立てた。この仮説を検証するために,ビスホスホネート服用後に下顎骨と大腿骨に同時にインプラント埋入を行い,下顎骨のみに壊死が起こるかを検証することをH19年度の研究の目的とした。 実験動物としてラットを用い,ビスホスホネートは最も顎骨壊死の発症頻度が高いとされるzometa^[○!R](zoledronate:ノバルティスファーマ社)を用いる。ビスホスホネート服用後6-8週後に下顎骨または大腿骨にインプラント埋入を行う。1-2週間後に埋入部位を開放し,骨壊死を起こしたラット数の比較を行う。予備実験としてビスホスホネートの投与量,インプラント埋入までの日数,そして埋入後の埋入部位開放までの日数の検証を行う。 現在,ビスホスホネートの投与量,インプラント埋入までの日数を検証している準備段階であり,研究実績としてはあがっていない。
|