研究課題
これまで、ヒトでデング出血熱の発症が観察されたウイルス株を用いた接種実験においてマウスでの出血熱様症状の発症は観察されていない。この結果は、ヒトとマウスとの間でデングウイルスに対する増殖・発症制御機構に何らかの種差が存在し、マウス体内では何らかのウイルス増殖因子の抑制が起きているためだと考えられた。そこで、基礎情報としてこれまで報告のなかった免疫能正常マウス体内におけるデングウイルスのウイルス増殖動態について検索し、マウス体内で起きているデングウイルスの増殖・発症抑制機構について明らかにすることを目的に、本年度は、デングウイルス感染マウスモデル構築のための基礎研究としてマウス由来細胞株適応デングウイルス株の作製を試みてきた。その結果、1)ヒトに対してより重篤な症状を示したウイルス株がマウス細胞における増殖能が比較的高いこと、2)様々なマウス由来細胞のうち、マクロファージ由来細胞において細胞変性効果が確認されたこと、が明らかになった。ヒトの臨床報告においてよりウイルス血症が高い場合により症状が重篤になることが示唆されていることから、ヒトでより重篤な症状を示す株がマウスにおいても重篤な症状を示す可能性を示唆すると共に、感染初期の標的細胞といわれるマクロファージがマウスにおいてもより感受性が高い可能性が示唆された。
すべて 2007
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)
Comparative Immunology, Microbiology and Infectious Diseases 30
ページ: 357-374