研究課題
免疫機能正常マウスはデングウイルスに対する感受性は低く、デング出血熱患者より分離したウイルス株を用いた接種実験においてもウイルス血症およびデング出血熱用症状は認められていなかった。この結果は、ヒトとマウスの間でデングウイルスに対する増殖・発症抑制機構に何らかの種差が存在し、マウス体内ではウイルス増殖因子の抑制が起きているためだと考えられた。これを明らかにすることによりデング出血熱の発症モデルの構築を試みると共に、それを用いて発症気所の解明を行うのが本研究の目的である。本年度は、免疫機能正常動物として新たに新世界ザルに属するマーモセットに対して、デング熱およびデング出血熱患者より分離した1型から4型までのウイルス株を接種しその感受性等について検索した。その結果、特に2型デングウイルスに対してマーモセットは他動物種に比べて高い感受性を有することが明らかになった。さらに、マーモセット体内で増殖した2型デングウイルスを分離し遺伝子解析を行った結果、非構造タンパク質であるNS4BおよびNS5をコードする領域に1ヵ所ずつ、アミノ酸の変異を伴うpoint mutationが認められた。この変異は、分離した全てのウイルス株で認められたことから、デングウイルスがヒトと新世界ザルとの間にある種差を超えるのに関与する変異である可能性が示唆された。今後、マーモセットを中心として免疫機能正常動物におけるデング出血熱発症モデルの構築を進め、それを用いて発症機序を明らかにして行きたい。
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Comparative Immunology, Microbiology and Infectious Diseases (掲載確定)