研究分担者 |
金澤 敏彦 東京大学, 地震研究所, 教授 (30114698)
松澤 暢 東北大学, 理学研究科, 教授 (20190449)
三浦 哲 東北大学, 理学研究科, 准教授 (70181849)
壁谷澤 寿海 東京大学, 地震研究所, 教授 (00134479)
多々納 裕一 京都大学, 防災研究所, 教授 (20207038)
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研究概要 |
2007年7月16日10時13分,新潟県上中越沖の深さ約17kmを震源とするマグニチュード(M) 6.8の地震が発生した.この地震により,新潟県と長野県で最大震度6強を観測し,大きな被害をもたらした.発震機構は北西-南東方向に圧縮軸を持つ逆断層型で,地殻内の浅い地震である.今回の地震は,未知の伏在断層で発生したもので,震源断層の実態を明らかにするためは,海陸を通じた地震観測により余震の精密な空間分布等を求める必要がある。特に,今回の地震は堆積層に覆われた地域で発生しており,このような地域で余震の分布から震源断層の実態を明らかにすることは,今後の同様の地域での地震発生を考える上で重要である.そこで,平成19年度の本調査研究では,海底地震計及び陸上臨時観測点を合計79台設置し,余震の精密な空間分布等を求め,今回の活動で発生した断層の正確な形状等を把握し,本震の性質の推定等を行なった.その結果,余震域の南西側は南東傾斜の余震分布が支配的であり,北東側では北西及び南等傾斜の分布が混在することがわかった.北東側と南西側では構造異なり,両地域の間が構造境界になっているらしい.また,このような地域での地震発生を理解することは,同様な他の地域における地震発生予測にも不可欠であり,社会的にも強く要請されることである.更に,本調査研究では.強震観測・建物被害や地震による災害の救援などを調査から被害の特徴と要因を明らかにし,震源断層に関する理学的研究と連携させて実施した.強震観測によれば,この断層面は,震源域南西側の余震分布でみられる南東傾斜である可能性が強いが,本震の位置はこの北西傾斜の地震群の中にある可能性がある. GPS観測では,観測点が陸域に限られているために,この地震の断層モデルを特定するには至らなかったが,予稿変動を捉え,その時定数(decay time) 0.35-2.83日と求まった. 平成20年度は,その研究成果をとりまとめた.
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