研究課題/領域番号 |
19900104
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
村井 章介 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (30092349)
|
研究分担者 |
高橋 公明 名古屋大学, 大学院・国際開発研究科, 教授 (50171476)
鹿毛 敏夫 新居浜工業高等専門学校, 一般教養科, 准教授 (60413853)
|
キーワード | 日本 / 中世 / 韓国 / 港町 / 遺跡 / 対外関係 / 環境 / 比較史 |
研究概要 |
まず、7月下旬には、済州島において調査を実施し、同島北海岸の前近代港湾の遺跡や、ヘンドリック・ハメル上陸地などを踏査するとともに、済州市旧市街の景観について検討した。その際、済州大学校の民俗学者高光敏氏の協力を得た。ついで、12月上旬には、研究分担者高橋公明の所属する名古屋大学大学院国際開発研究科においてそれまでに推進してきたことを総括する研究集会を開き、本研究計画メンバー以外からの参加も得て、3本の研究報告を行った。その内容は後述する研究成果報告書に掲載されている。また、集会の翌日には、知多半島西岸にある陶器の積出し港常滑において現地調査を実施した。そして、年度末には、前記の研究集会の成果を踏まえて報告書を作成し、関係各所に配布した。報告書は論文編と資料編に分け、論文編では、日韓港町比較の総括、豊後府中の都市構造、済州島古地図の分析、14世紀に高麗で活動した倭寇の軌跡などを扱った諸論考を掲載した。資料編では、港町の日韓比較研究を行う上で重要なものである、竹島を挟んで向き合う隠岐島と鬱陵島に関する史料を掲載した。 本研究の目的である日韓の港町立地の比較に関して、考古学的な観点からの検討については、メンバーの専門性や時間・経費の制約のために、発掘遺構の視察や海底発掘遺物の観察等を実施するにとどまらざるを得なかった。しかし、古記録・古地図などの歴史資料を踏まえ歴史地理学的方法に基づいた調査・研究を行うことによって、地形・潮汐など自然条件の規定性、政治権力との関係とその都市空間への反映、港町の存立を支えた物資補給や物流のシステムなどについて、本研究では一定の成果が得られた。特に西・南・東海岸と鬱陵島・済州島というように、面的な調査を実施した韓国については、西日本とは異なる自然的・政治的環境のもとに、地域ごとに多様な港町のあり方が見られるということが明らかとなった。
|