研究分担者 |
高橋 浩二 富山大学, 人文学部, 准教授 (10322108)
中村 俊夫 名古屋大学, 年代測定総合研究センター, 教授 (10135387)
小田 寛貴 名古屋大学, 年代測定総合研究センター, 助教 (30293690)
南 雅代 名古屋大学, 年代測定総合研究センター, 准教授 (90324392)
奥野 充 福岡大学, 理学部, 准教授 (50309887)
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研究概要 |
中世の国家・社会を対象として,磁気物性,14C年代推定法,遺跡探査による研究を行った. (1)考古地磁気年代の研究を北陸と北海道地域の遺構で実施した.年代推定の基準となる地磁気変動は西南日本で主に研究されている.そのため,基準点の京都と緯度がかなり違う北海道では適用可能かの検討が必要であった.焼土遺構の研究から,西南日本版の地磁気変動の補正により年代推定が可能と示された.また,ロシア・ウラジオストック周辺の遺構でも,予察的な研究から緯度が似た北海道における考古地磁気変動を利用して良好な年代値が得られた. 石川県能登町の珠洲焼窯では,焼土から得た地磁気年代は誤差が少なく陶磁器形式年代とも良く合った.同時に行った14C年代研究でも矛盾は無かった.また同地域で,未発掘の窯跡の調査にレーダ探査法を適用した結果,新たな窯跡が明確に示され,その後のトレンチ調査で確認できた.以上の成果は,同遺跡群の国指定遺跡への申請資料として活用された. (2)戦禍が推測された沖縄県具志川城遺跡では,石垣の石灰岩の磁化から300度を超える被熱の証拠が見つかった.考古地磁気から事件は16世紀に起きたと示され,古文書に記載の戦禍が証明された. (3)14C年代推定では,北海道の擦文期終焉の年代(12世紀後半から13世紀初頭),白頭山起源の火山噴出物B-Tmの噴出年代(AD936年付近),バーミアン遺跡壁画の世界初の14C年代(作成は5,6世紀から9世紀中頃まで),鎌倉での戦禍を人骨の14C年代から探る研究(鎌倉終焉期の年代)等,注目される成果が得られた.また,古代鉄や火葬骨の年代推定でも成果が得られた.
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