災害急性期において第一線で活動する被災地における救援者のストレス経験を明らかにし、効果的な組織的支援体制のあり方を探ることを目的に、平成16年10月の新潟県中越地震で、自らも被災した保健福祉医療従事者(保健師・助産師・看護師・救急隊員等)317名を対象に調査研究をおこなった。調査紙においては、勤務状況、被害の程度、人口統計データ等を収集するとともに、先行研究およびインタビューを通して抽出した「ストレス項目」53項目、「組織的支援項目」47項目(6段階リッカート尺度)を用いた。 高いストレス得点を示した項目は、「近親者の死」がきわめて高く、次いで「発災直後に勤務できなかったことを非難されること」「地震発生後しばらく家族の安否が確認できなかったこと」「自分の家族が危険にさらされたこと」「友人・知人の死」「仕事に行くことに家族からの理解を得られなかったこと」などであった。 組織的支援項目の得点は、「家族の安否をできるだけ早く確認すること」が最も高く、次いで「家族の無事を直接目で確認すること」「トイレが使用できること」「電話などで家族や子どもと話をすること」「上司・同僚の間で、何でも言える良好な関係があること」などであった。 組織的支援項目については、尺度全体の得点、および各項目別得点、項目間相関係数などを確認した後、因子分析(主因子法・バリマックス回転)をおこなった。因子分析の結果、8因子が抽出され、累積寄与率は64.19%であった。8因子すべてが固有値1.00以上であり、各因子でそれぞれ解釈可能なまとまりを得た。クロンバックのα係数は全体、各因子で、いずれも0.7以上を確保できた。 今後、成果を2008年日本トラウマティック・ストレス学会、日本災害看護学会等で発表するとともに、ストレス項目および組織的支援項目得点の組織等属性による差、探索的因子分析などをすすめていく予定である。
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