○研究目的 尊い命を痛ましい水難事故から救うための指導プログラムを確立することが教育現場で急務である。 本研究目的は、身近な河川でより安全で豊かな親水活動が展開されるよう汎用性に優れた学習プログラムを作成し指導効果を検証しようとすることにある。 ○研究方法 本研究では、カエル足による呼吸確保と水中での移動に学習のねらいをおいた全9時間による指導計画を作成した。指導計画は「水との共生」を理念とした学習内容とした。具体的には、1時間目(以下単に(1))オリエンテーション、(2)(3)着衣状態で浮く、(4)潜る、(5)(6)浮いて進むI、(7)(8)浮いて進むII、(9)まとめであり、体の部位を抽出して行われてきた指導に対して、「浮く」「進む」「潜る」など泳ぎを要素で捉えた学習計画とした。データ分析は、水着泳での泳ぎ、着衣泳での泳ぎの泳速度、指導後の水着泳での泳ぎ、着衣泳での泳ぎの泳速度と比較した。また、自由記述の分析を行い、指導内容・指導方法の妥当性について考究する。 ○研究成果 ・着衣による移動について、25Mのエレメンタリーバックストロークの泳速度は事前値(0.37m/sec)より有意に事後値(0.46m/sec)の方が上回った。 ・水着泳のおける泳速度については事前値と事後値に有意な差は見られなかった。 ・自由記述の分析から、浮く、潜る、進む授業を通して静水における水難時の対処法について身につけられたことが実感として上げられた。出現率(記述者数÷対象者数×100)は、浮く82.1%、潜る89.4%、進む91.4%であった。 以上から、学習プログラムの一定の効果が認められた。今後指導方法のより効果的な在り方を考究したい。
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