研究課題/領域番号 |
19F18322
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
若林 克法 関西学院大学, 理工学部, 教授 (50325156)
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研究分担者 |
PHAN ANH 関西学院大学, 理工学部, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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キーワード | プラズモニクス / 光熱変換材料 / ガラス転移 / アモルファス / ディープラーニング / 光応答 |
研究実績の概要 |
近年、熱・プラズモニクスは、エネルギー貯蔵・光熱療法・ドラッグデリバリーや、バイオセンサーなどへの応用が期待されており、急速に研究が展開している。光熱変換材料では、低強度のレーザー光によって表面プラズモン共鳴を引き起こすことで、効率良く光エネルギーを熱エネルギーへと変換できる。本研究課題では、様々なナノ材料から構成される複合ナノ構造に着目し、熱・プラズモン変換の特性を理論および数値 計算によって調べ、より効率的な光熱変換を可能とする複合ナノ構造の設計を目的としている。 2019年度は、プラズモニック材料溶液相と空気相からなる複合系における光吸収による気化過程を、熱拡散方程式による熱勾配の時間発展によって解析した。特に、気化過程は気液界面の温度差と強く関係していることがわかった。このモデルによって、気化過程における水の温度上昇と重量変化が、最近の実験結果と定量的に一致することがわかった。今後、ディープラーニング技術を用いて、最適な特性を得るために必要なナノ材料の構造パラメータを提案する。 上記に加えて、アモルファスの二次緩和時間についての理論研究を実施した。冷却速度や圧力が、アモルファスドラッグにおける二次緩和時間や動的脆弱性に影響することがわかっている。しかし最近の計算機シミュレーションのタイムスケールは106ps以下であるのに対し、実験観測のタイムスケールは約100sであるという乖離がある。そこで、非線形ランジュバン方程式を用いて、1psから104sまでの時間領域における緩和時間を評価した。さらに、実験グループと共同研究を実施し、我々の理論解析手法を用いて、アモルファスドラッグの構造緩和に関する実験データ解析のサポートを行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究課題では、多機能複合ナノ構造におけるプラズモン特性と光熱変換特性に関する理論的解析を主題にしている。2019年度は、TiNナノ粒子溶液における光熱変換特性、グラフェンディスクアレイによる近赤外吸収、アモルファスドラッグにおける構造緩和など多岐にわたる研究を行なった。結果、研究論文を6報出版するなど、研究計画の想定以上に、研究が大きく進展した。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は研究課題の最終年度であるため、研究課題の取りまとめを中心に課題の遂行を行う。また、未発表の研究成果やデータを論文として出版できるように整理を進める。さらに、光熱変換材料の研究について、実験グループとの共同研究を促進させる。
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