研究課題/領域番号 |
19F19016
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
岡本 正明 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 教授 (90372549)
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研究分担者 |
ANUGRAH IQRA 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2019-10-11 – 2022-03-31
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キーワード | インドネシア / 民主化 / 農民運動 / 農村ガバナンス / 新自由主義 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、民主化したインドネシアにおいて、農村レベルでのガバナンス向上を図るために、農民たちがどのように活動し、組織化しているのかを、他の新興国の事例との比較も視野に入れて分析するものである。 本研究の学問的貢献は、新自由主義的経済モデルが影響力を持つインドネシアにおいて、農民たちの組織化の態様にはさまざまなものがあり、その規定要因として、地域のコンテキスト、現地社会のリーダーシップのあり方、外部介入のイデオロギーなどが存在することを明らかにした上で、農民の組織化を大きく4つの類型に分類したことである。およそ、インドネシアにおける農民運動の研究は、長期的にコミットしたフィールドワークベースのものがおおく、その地域の農民運動の態様についての詳細は分かるものの、インドネシア全体でどのような農民運動が存在するのか、また、その差異の原因は何なのかに関するものは皆無と言ってよかった。その点、本研究は、現地での比較的長期のフィールドワークも踏まえながら、インドネシアの農民運動の類型化を試みており画期的な成果となっている。 2019年度には本研究をまとめた本の草稿をウィスコンシン大学出版に提出しており、2020年4月には査読者からのレビューが戻ってきた。そのため、2020年度は、京都大学東南アジア地域研究研究所の図書資料、さらには現地社会のインフォーマントとのソーシャルメディアを通じた意見交換などを通じて、原稿の改定を行った。くわえて、3本のペーパーをかきあげた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度には、追加データ収集のために現地調査を行う予定であったが、コロナ感染症拡大がとまらなかったため不可能であった。そのため、ペーパーの作成、本の原稿の改定のためのデータ収集を思ったように進めることができなかった。ただ、インドネシアもインターネットの普及率が急速に高まっており、現地社会のインフォーマントとのコミュニケーションもソーシャルメディアを通じて行うことが容易になってきた。農村レベルだとそれほどインターネットの状況が良くないところもあるが、少しずつ必要なデータを集めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ感染症拡大のために現地調査が2020年度は行えず、2021年度も困難だと思われることから、2020年度と同様に、データ収集については、図書室の文献資料に加えて、現地社会のインフォーマントとのソーシャルメディアを通じた意見交換に依存していくことになる。コロナ感染症拡大が続いたことから、インフォーマントたちもソーシャルメディアでの意見交換にかなりなれてきたことから、情報収集の効率も上がっていくはずである。
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