研究課題/領域番号 |
19F19023
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
鎌田 俊一 北海道大学, 理学研究院, 准教授 (40723474)
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研究分担者 |
VILELLA KENNY 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2019-07-24 – 2021-03-31
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キーワード | 氷衛星 / 熱進化 / 数値計算 / 熱対流 / 潮汐加熱 |
研究実績の概要 |
当初、本研究においては、氷天体内部の長期進化を解く新たな1次元ー3次元結合モデルを作ることを目的としていた。3次元モデルの改良にあたってはフランスの研究者とのオフラインでの情報共有が必須であったが(データ量が膨大となるので、遠隔での議論は非現実的)、採用後のコロナパンデミックの影響により極めて困難となった。そのため、まずは1次元モデルの開発に特に注力することとした。 1次元モデル開発においては、受入研究者が過去に発展させてきた惑星長期進化モデルを発展させた。先行研究では氷地殻内部での発熱は無視し、深部の放射壊変熱のみが考慮された。しかしながら、氷衛星の進化の重要な熱源として潮汐加熱があり、その加熱場所として氷地殻は無視できないと考えられているため、対流層内部での発熱を考慮することが喫緊の課題であった。そこで、本研究では氷地殻内部での発熱を考慮したときの内部熱進化を精度よく計算するモデルの開発を行った。現在、モデルの詳細をまとめた論文を執筆中であり、国際学術誌に投稿予定である。 また、3次元モデルの改修も可能な限り進めた。具体的には、内部加熱の水平不均質を考慮したときのマントル対流の様子や、内部溶融(局所的な氷や岩石が融解)が内部の熱輸送やダイナミクスに与える影響を、3次元マントル対流計算コードStagYYを用いて詳細に検討を進めた。これらの結果については現在投稿論文を準備中である。ただし前述の通り国際協力が困難なため、ベンチマークが残されている状況である。 上述の結果の一部は、既に複数の国際学会や、他国の大学のオンラインセミナー(招待講演)にて発表された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全ての予備的研究が終わった段階である。既に2本の論文が出版されており、また一つは改訂中である。3次元コードの改修はほぼ済んでいるが、ベンチマークが残されている。1次元モデルの改修も大部分が終わったが、まだ残された部分があるが、論文執筆を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
1次元モデルのモデル改修を進めつつ、投稿論文を完成させる。また、モデルを実際の系(例えば土星衛星ディオネなど)への応用を進める。海外渡航が可能になり次第、3次元コードのベンチマークを進める。
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