研究実績の概要 |
本研究では、中空多孔性カーボン材料を合成し、この細孔内を利用したPt-Ni合金電極触媒粒子を調製し、その構造、酸素還元反応特性、耐久性を明らかにすることを目的とした。中空多孔性シリカを鋳型として、中空多孔性カーボンHPCSを合成し、Pt及びNi錯体を2,2'ジピリジルアミン (dpa) 共存下含浸し、乾燥、水素による還元処理を行うことで、HPCSに担持されたPt-Ni合金ナノ粒子を調製した。TEM観察及びXRD解析の結果、HPCS内に平均粒径2.0±0.4 nmのPt-Ni合金ナノ粒子が形成されていることがわかった。dpaがない場合には、顕著な合金の相分離と粒径の増大が見られた。dpa以外の様々な有機配位子を用いた合成を検討したところ、ピリジン骨格を有する有機分子が粒径制御に有効であり、dpaで最も小さいPt-Ni合金ナノ粒子が得られることがわかった。 Pt/Ni比の異なる複数のPt-Ni/HPCS触媒を合成し、RDEを用いた酸素還元反応(ORR)活性の評価を行ったところ、Pt-Ni/HPCS触媒は、市販のPt/C触媒やKBに担持したPt-Ni触媒と比較してECSAが大きく、MA, SAとも優れた活性値を示した。Pt/Ni=1.22の試料が最もORR活性が高く、0.9 Vで3.25 A mg-1_PtのMAを示し、市販のPt/Cと比較して13.5倍の値であった。加速劣化試験によって触媒の耐久性を評価したところ、加速劣化試験回数に伴ってECSAの低下は見られるものの、市販のPt/Cと比較してその低下は緩やかであり、60,000回の加速劣化試験後にも2.3±0.4 nmの粒径を維持していることが分かった。 また、このdpaを利用したPt系合金ナノ粒子の触媒調製法を更に発展させ、メタノールを用いた電極酸化反応触媒の調製も行った。
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