研究課題
本研究では最近我々が開発したペプチド交互共重合体の合成法に基づいて、粘弾性ポリペプチド分子の合成と特性評価を実施した。その合成法はアルデヒド、アミン、イソシアニド含有カルボン酸を用いる3成分縮合重合であり、これらを混合するだけで無触媒で反応が進行し、完全にアミノ酸配列が制御されたポリペプチドが得られる。グリシンとフェニルアラニンの交互共重合体をリード化合物として用いた。その物性値を参照値としながら、各種誘導体を合成し、物性値を自在にコントロールした粘弾性ポリマーを得た。ポリマー単独での熱物性や機械的物性を評価した後で、無機フィラーや生体高分子と混合して生体材料の創製について検討した。本年度は主に以下の点に注力した。1)粘弾性材料の開発と特性評価:昨年度の先行研究の結果に基づいて、ペプチド交互共重合体の構造と剪断応力駆動型の接着性との相関解明を目指した研究を実施した。結果として、グリシン-N-ベンジル化バリンを繰り返し構造として持つポリマーが非常に高い接着強度と再接着性を示すことが明らかとなった。分子構造と応力駆動型の接着性の関連性について考察して論文を発表した。2)速度論的なハイドレート形成阻害剤の開発:ノルウェーのスタヴァンゲル大学のKelland教授と国際共同研究を進め、ガスハイドレートの形成を速度論的に抑制するペプチド交互共重合体の骨格を見出し、結果をまとめて論文を発表した。3)温度応答性ペプチドの開発と生体材料の創製:ペプチド交互共重合体の構造と温度応答性の関連性を評価したほか、それらポリマーを天然のコラーゲンと混合して人工皮膚の開発に向けた検討を行った。また関連して、人工軟骨に関する研究も進め、MRIのスペシャリストである埼玉医科大学の鈴木博士と共同研究を開始した。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2020 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)
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