研究課題
本研究ではグラフェンをベースにした種々の革新的デバイスの開発を進めてきた。グラフェンを用いたショットキーダイオード、およびGe/グラフェン/メタルのサンドイッチ構造を有する機能性デバイスについての研究に取り組み、さらには、イオン液体を用いた電界効果型ダイヤモンドアンビルセルをグラフェンに適用し、キャリア注入による電子物性制御を試みた。Ge/グラフェン/メタルのサンドイッチデバイスについては、接合部分がグラフェンに与える物理的ダメージが大きく、この問題を解決するためには、新たな技術の確立が必要である。また、電界効果型ダイヤモンドアンビルセルは、圧力の印加に伴い、端子の接続状態を良好に保つことが難しく、研究が難航している状況である。そこで、グラフェンと同様の二次元層状物質である遷移金属ダイカルコゲナイドに着目し、インターカレーションを用いたケミカルなキャリア注入により、電子物性を制御することを試みた。ゲストイオンとしては、導入後も常温常圧で安定なAgイオンを採用した。電気化学的にAgイオンを導入することで、40年前にその構造のみが予測されていたが、これまで合成が困難であったステージ3と言われる結晶構造を有したAgxTaS2の合成に成功した。この物質は低温で超伝導転移することが知られているが、ステージ3構造の発現に伴い超伝導転移温度が向上することを明らかにした。この研究によって得られた成果は、国際誌2D Materialsに掲載された。さらに、このようなイオンの拡散制御に伴う物質合成に関する成果を、第81回応用物理学会秋季学術講演会、2020年秋期日本金属学会第167回講演大会、日本セラミックス協会東北北海道支部研究発表会にて報告した。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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2D Materials
巻: 8 ページ: 015007 (1-10)
10.1088/2053-1583/abbac1