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2019 年度 実績報告書

高性能光触媒の実現を目指した反応機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19F19042
研究機関信州大学

研究代表者

堂免 一成  信州大学, 先鋭領域融合研究群先鋭材料研究所, 特別特任教授 (10155624)

研究分担者 VEQUIZO JUNIE JHON  信州大学, 先鋭領域融合研究群先鋭材料研究所, 外国人特別研究員
研究期間 (年度) 2019-04-25 – 2021-03-31
キーワード粉末光触媒 / 過渡吸収分光 / キャリアダイナミクス / 助触媒 / 窒化物 / セレン化物
研究実績の概要

再生可能な水素の製造法として,粉末光触媒を用いた太陽光水分解反応が研究されている.しかし,光触媒反応はフェムト秒から秒までの幅広い時間スケールで起こる複雑な過程を経るため,十分な活性を示す光触媒は開発途上にある.また,活性を決定づける要因についても真に有用な知見は限られている.本研究では,過渡吸収分光法を用いて水分解反応に高活性な粉末半導体光触媒の振る舞いを解析する.これにより,光触媒内部及び表面で光照射時に起こる過程を解明し,実用化に資する可視光応答性光触媒の創出に貢献する物性・材料に関する知見を明らかにする.
令和元年度は豊田工業大学山方啓准教授と連携して,水素生成反応に高活性なBaTaO2N,CuZnGaSe固溶体等の過渡吸収分光を行った.BaTaO2Nに対して新たに開発した手法で水素生成助触媒を担持すると励起電子を効率よく水素生成助触媒に捕集できることが明らかになった.一方で,ピコ秒領域でのトラップ過程は十分に抑制されておらず,光触媒の合成法の改良,及び助触媒の共担持や表面処理などの表面修飾の開発が必要であることがわかった.
CuZnGaSe固溶体に関しては,Ni系およびRu系助触媒を共担持すると硫黄系電子ドナーを含む水溶液からの水素生成活性が飛躍的に向上したため,その理由をキャリアダイナミクスの観点から解析した.Ni系およびRu系助触媒を共担持すると,助触媒未担持,あるいはNi系,Ru系助触媒を個別に担持した場合に比べ,励起電子が助触媒に捕集されたことを表すシグナルが2倍以上増強されることを確認した.各種分析結果から,共担持により助触媒の分散性が向上しており,効率的な励起電子の捕集が可能になったと考えられる.
その他に,酸素生成反応に高活性なTa3N5,BaTaO2Nについても助触媒の担持が励起電子・正孔のトラップ過程にどのような影響を及ぼすのかを解析した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初計画通りに研究室で開発を進めている長波長の可視光を吸収可能な光触媒材料のキャリアダイナミクスを過渡吸収分光により解析した.10%を超える外部量子効率で水素を生成可能な酸窒化物,セレン化物光触媒や,10%を超える外部量子効率で酸素を生成可能な酸窒化物など,最先端の光触媒材料の物性,助触媒の効果などが明らかになりつつあり,活性向上のメカニズムや今後の光触媒・助触媒開発の方向性を示すことができた.さらに,学会発表や論文投稿可能なデータを取得済みであり,学術的に十分な進展が見られたと判断できる.

今後の研究の推進方策

令和元年度の研究成果を踏まえ,令和2年度はBaTaO2N及びTa3N5光触媒を対象に,ドーピングや表面エッチングによる物性の改善,助触媒の共担持による電荷分離の促進を図る.これにより,水素生成活性の飛躍的向上や可視光水分解反応の達成を目指す.また,検討中の酸素生成反応に特に高活性なBaTaO2NやTa3N5光触媒と水素生成用光触媒を組み合わせた二段階励起型の水分解反応の実現可能性についても追究する予定である.改良した光触媒系について,過渡吸収分光を利用して助触媒共担持や光触媒材料のコンポジット化が励起キャリアの振る舞いにどのように影響したかを明らかにし,高性能光触媒の反応機構や設計指針を確立していく.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2019 その他

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [学会発表] Unraveling the mechanism of high photocatalytic performance of oxide and nitride/oxynitride photocatalysts2019

    • 著者名/発表者名
      Junie Jhon M. Vequizo, Tsuyoshi Takata, Takashi Hisatomi, Akira Yamakata, and Kazunari Domen
    • 学会等名
      2019 International Conference on Advanced Functional Materials and Nanotechnology (ICAFMN) and 21st Samahang Pisika ng Visayas at Mindanao (SPVM) National Physics Conference
    • 国際学会 / 招待講演
  • [備考] JSPSサイエンス・ダイアログ

    • URL

      https://www.jsps.go.jp/j-sdialogue/past_lectures_r1.html

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公開日: 2021-01-27  

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