研究課題
今年度の研究では、化学酸化ならびに沈殿法によりナノカーボン-金属複合材の合成を行い、難分解性有機物(代表汚染物としてカルボフランを使用)の分解効率向上を図った。炭素材としてはカーボンナノチューブを、金属としては酸化鉄ナノ粒子(磁鉄鉱)を用いて合成を行った。合成された複合材の物性に関して、各種高度分析(XRD、FTIR、BET、TEM等)により結晶構造や官能基、表面積、粒子形状等を明らかにした。合成された複合材ならびにカーボンナノチューブ単体を用いた汚染物分解試験を実施した結果、反応系のpHや複合体濃度、反応時間等の諸条件により分解程度(全有機炭素濃度の除去量)は異なったものの、複合材はカーボンナノチューブ単体より汚染物質の分解においておよそ2倍程度高効率であることが分かった。合成された複合体に含まれる鉄イオンがフェントン様反応によりヒドロキシラジカルなどの活性酸素種の生成を促進させ、この酸化作用と炭素材への吸着作用の相乗効果により効率的な分解・吸着除去が生じることが分かった。また、当該試験では、全有機炭素濃度の変化のみならず、分解過程で生じる変換物質を液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS)により同定した。さらに、複合材の再利用性を評価するため、同一の複合材を用いた汚染物処理試験を4連続で実施し、試験後においても分解効率は20%程度の低下にとどまることが分かった。以上の暗条件の実験に加え、明条件の試験において汚染物の分解効率が高まったことから、複合体は光触媒活性を有することが明らかとなった。複合体の持つ光触媒活性の詳細については、今後の検討課題である。以上、今年度の研究では、新たにナノカーボン-金属複合材を合成し、この複合材を水処理試験に供することで、より効率的な汚染物質除去が可能となることが分かった。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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