研究課題/領域番号 |
19F19094
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
今井 秀行 琉球大学, 理学部, 准教授 (10359987)
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研究分担者 |
ISLAM MD RAKEB-UL 琉球大学, 理学部, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2019-10-11 – 2022-03-31
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キーワード | ナンヨウチヌ / ミナミクロダイ / 遺伝的集団構造解析 / ミトコンドリアDNA |
研究実績の概要 |
国内では西表島だけに繁殖集団が知られているナンヨウチヌの生態を明らかにするために、白浜から船浦までの北地域個体群と仲間川個体群および比較のためルソン北地域個体群を加えてミトコンドリアDNA調節領域の塩基配列分析による集団構造解析を実施した。その結果、3つの個体群すべてにおいて数理統計的に遺伝的独立性が示された。Management Unit(MU)であるために漁業資源の管理および保全管理の観点から重要な知見が得られた。少なくとも西表島内には2つの系統群が存在し、お互いに回遊して交流することなく、self-recruitment(自己加入)していると考えられた。 琉球列島に分布するミナミクロダイの生態を明らかにするために、奄美大島個体群、沖縄島個体群および石垣島個体群をミトコンドリアDNA調節領域の塩基配列分析による集団構造解析を実施した。その結果、それぞれが遺伝的に独立している集団であることが明らかとなった。沖縄島集団と石垣島集団の間に遺伝子流動の境界があると思われるため、宮古島個体群を加える必要性が生じたため、サンプル収集と解析を次年度で継続することになった。 以上から、これら近縁の2種間において稚仔魚の分散戦略、成魚の回遊などが異なる生態学的特性を持っている可能性が示唆された。以上の結果には適正な漁業資源としての管理手法だけでなく、環境保全に係る重要な知見が含まれていると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ミナミクロダイの遺伝的集団構造解析において、沖縄島と石垣島においてそれぞれが独立した集団であることが明らかになったために急遽、宮古島サンプルを加えなければならなくなったため解析が遅延している。 コロナ禍の影響でオーストラリアの大学へ委託予定の耳石微量元素分析が実施できなかった。耳石サンプルは受け取り済みなので新年度では分析が実施できると予測している。
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今後の研究の推進方策 |
ナンヨウチヌおよびミナミクロダイの遺伝的集団構造解析では概ね終了しているが、ミナミクロダイの宮古島個体群を追加で解析することで完了することができる。速やかに投稿論文の作成、学術雑誌へ投稿する予定である。 耳石微量元素分析について委託先のオーストラリアの大学において昨年度からコロナ禍でサンプルが到着しているものの分析されなかった。現在ではロックダウン解除されていることから再度コンタクトして分析を進めていきたい。
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