研究課題/領域番号 |
19F19099
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研究機関 | 国立研究開発法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
小林 拓朗 国立研究開発法人国立環境研究所, 資源循環・廃棄物研究センター, 主任研究員 (10583172)
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研究分担者 |
MA HAIYUAN 国立研究開発法人国立環境研究所, 資源循環・廃棄物研究センター, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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キーワード | 資源作物 / メタン発酵 / 熱分解チャー |
研究実績の概要 |
本年度は、資源作物のソルガムのメタン発酵において籾殻に由来するバイオチャー添加の影響の評価と添加量条件の最適化を中心として取り込んだ。まず、バッチ実験で異なるソルガム由来の有機物負荷条件がメタン発酵性能に与える影響を調査した。原料投入量と植種微生物量の比率(F/M比)の上昇に従って、ソルガム発酵過程で明らかなpH低下とVFAの蓄積が観察された。一方で、籾殻バイオチャーの特性評価を行ったところ、大きば表面積(多孔性)と高い陽イオン交換性能を示した。これらの特徴は、アンモニウムや重金属のようなカチオン性阻害物質の吸着に寄与する可能性を示している。チャーの添加は、ソルガムのメタン発酵システムにpHの緩衝能力と毒性物の吸着性能をもたらすことが確認された。特に、高い有機物負荷条件の下で、15g/Lの籾殻バイオチャーの添加条件において、添加なしの場合と比較してメタン生成速度の25%の向上と44%の遅滞期短縮を実現できた。しかしながら、それ以上にチャー添加してもより高い促進効果が得られなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
メタン発酵プロセスと生分解性の低い有機性廃棄物(籾殻)のガス化プロセスとの連携システムの構築を目指した研究を進めている。初年度は、ガス化の副産物として大量に生成しているチャーの、メタン発酵プロセスにおける有効利用を目標としていた。本年度の実験研究を通して、バイオチャーのソルガムメタン発酵における役割を幅広く検討した。研究全体の進捗状況としてはおおむねに順調に進んでいると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
二年度目は、同じく有機性廃棄物ガス化の副産物としてのタールの、メタン発酵における有害物質の分解とメタン変換を研究目標として、さまざまな手法でタールの生分解性能を向上し、メタン発酵を通して高効率なエネルギー回収を目指している。特にタールに多量に含まれているフェノール類やPAH類などの生物分解性と生物毒性を詳細に検討していく。
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