バイオマスの熱分解ガス化発電において、(1)炭素残渣であるバイオチャー(biochar)の嫌気性処理における有効利用と、(2)熱分解ガス凝縮水(tar)の適正処理に関する研究を実施した。資源作物としてのソルガムのメタン発酵効率化を目指してバイオチャーの発酵促進への効果を調査し、発酵原料が高負荷の際にはチャーの添加がメタン生成速度と発酵の安定化を促進することを明らかにし、適切なチャーの濃度範囲も突き止めた。(2)の研究では、新たに籾殻のガス化凝縮水を、UASB型嫌気性微生物処理の処理原料として供し、その処理特性と効率化を検討した。凝縮水は原液の高濃度のままで処理した際には、微生物に対する阻害が大きく、処理性能が悪化する。しかしながら、微生物群の馴致と、バイオチャーを反応容器に共存させることで阻害が軽減され、より安定した処理を継続的に達成できることが明らかとなった。この安定した処理において、有機性成分の主成分であるメタノールやフェノールといった有機汚濁物質のほとんどが除去できることがわかった。
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