研究課題/領域番号 |
19F19101
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
渡辺 元 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (90158626)
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研究分担者 |
AHMED HANEY 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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キーワード | インヒビン抗体 / 過剰排卵 / マイクロRNA / オルガノイド / カラードップラー |
研究実績の概要 |
と畜場から購入したウシ卵巣から顆粒膜細胞を分離し、初代単層細胞培養系を用いて、in vivoで過剰排卵処置をした際に変化するマイクロRNAを解析するためのin vitroモデルの作成を試みた。このin vitroモデルを用いて、異なる濃度のプロゲステロンとインヒビン抗血清を組合せた処理による効果を解析した。その結果、インヒビン抗血清と中用量プロゲステロンの併用処置群で、顆粒層細胞の機能的成熟の指標となるエストラジオール-17β産生の有意な増加が観察された。さらにこの処置により卵胞発育の指標となる顆粒層細胞の増殖率も非常に高いことが明らかになった。今後は、さらに3次元培養法で良い生体内環境に近いオルガノイド法も取り入れて解析する予定である。 また、福岡県農林業総合試験場畜産部大家畜チームと協力して、乳牛にインヒビン抗原を能動免疫することによって自らインヒビンの抗体を作成させることにより、過剰排卵を誘起した。併せてその過程におけるカラードップラー超音波検査でえられた卵巣内血流の変化と、末梢血液中各種ホルモン濃度変化の関係を解析した。その結果、血液中のインヒビン抗体価の上昇と生殖ホルモン濃度とに有意な変化が見られた。また、超音波画像で検出された卵巣構造の変化と血行動態に有意な変化が観察された。 この研究成果をJournal of Reproduction and Development 65(5)と Theriogenology Vol. 147( 15 )および 146(1)に投稿した。また第112回日本繁殖生物学会大会および令和元年度日本獣医師会獣医学術学会年次大会にて発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通りに研究を遂行することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、卵巣顆粒膜細胞および莢膜細胞の3次元培養オルガノイドを確立する予定である。オルガノイド培養系により細胞間相互作用の研究に役立ち、培養下で分離細胞の機能特性に関し、単層培養に比べより生体内に近い詳細な解析結果が提供されます。局所細胞ニッチおよびその複雑な細胞相互作用(オートクリンおよびパラクリンコミュニケーション)に対する強力なモデルシステム生体内実験が不可能な大型動物の研究に有効である。 細胞外マイクロRNAの測定は、3D培養システムで研究しすることにより、生体内での効果に近い結果を得ることができる。
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