研究課題/領域番号 |
19F19316
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小山 崇夫 東京大学, 地震研究所, 助教 (00359192)
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研究分担者 |
GRESSE MARCEAU 東京大学, 地震研究所, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2019-11-08 – 2022-03-31
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キーワード | 地磁気地電流法 / 三宅島 / 不飽和層 / 熱水変質 / 粘土層 / 火山性流体 |
研究実績の概要 |
当年度では、既存の電磁場測定データを地磁気地電流法による解析をし、三宅島下の地下比抵抗構造推定をおこなった。14観測点でのデータ解析の結果、三宅島下はおおまかに3層の構造で特徴づけられることが分かった。 一番上の層は、地表から海水準程度までのおよそ数100mの厚さの高比抵抗層であった。これは不飽和層であり、天水などを保持し得ず空隙があるために高比抵抗を示しているものと考えられる。 中間の層は、厚さおよそ1-2kmの低比抵抗層であった。これは地下で火山流体による熱水系が卓越しており、それにより生じた熱水変質の粘土層であると考えられ、そのため低比抵抗を示していると考えられる。 一番下の層は、比較的に高比抵抗であった。これは高温であり熱水変質粘土層になり得ず、また、火山流体は部分的に気体成分あるいは超臨界水の状態であり、高比抵抗を示したと考えられる。この火山流体は将来の火山噴火活動の主原因となる可能性があるため、今後その活動推移を注視する必要がある。 また、その後の比抵抗構造の時間変化を検出することを目的として、再度電磁場データの測定を実施した。今回は測定点を増やし23点で実施し、およそ1か月間データ取得をした。観測は成功し、良質なデータを取得できた。今後解析を進めあらためて構造推定を行い、前回の結果との比較を通じて、地下の火山性流体および熱の移動について把握することで、将来の噴火活動予測に資する知見を取得する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定どおりに(噴火時でない)静穏時の三宅島の地下比抵抗構造の推定を完了することができ、当研究は順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は今年度取得したデータの解析を進めあらためて構造推定を行う。 そのうえで前回の結果との比較を通じて、構造の時間変化を検出し、 地下の火山性流体および熱の移動について把握する。 最終的には将来の噴火活動予測に資する知見を取得することを目標とする。
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