研究課題/領域番号 |
19F19325
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
西田 昌平 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (20370075)
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研究分担者 |
WAHEED EIASHA 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2019-11-08 – 2022-03-31
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キーワード | B中間子 / セミレプトニック崩壊 / 新物理 / アクシオン |
研究実績の概要 |
本研究では、大量に生成したB中間子の崩壊を研究するための実験であるBelle実験およびその後継のBelle II実験のデータを用い、B中間子のセミレプトニック崩壊における新物理探索を行う。平成31年度(予算を繰越した翌年度を含む)には、B中間子のセミレプトニック崩壊B→D*lνのBelleの最新の測定結果を、系統誤差や理論的不定性の寄与を抑制した新しい方法で再フィットを行い、小林益川行列要素Vubを測定した。再フィットはlattice QCDからの入力を情報として追加した場合についても行い、Vubの測定モデル依存性を抑制することができることを確認した。これは、Vubの測定からの新物理探索に有用であると考えられる。この他、右巻きカレントを入れて新物理の寄与を抽出するためのシミュレーション研究を行った。 Belle II実験内では、粒子識別装置のAerogel RICH検出器の運用を行っている。D* → D0π, D0 → Kπ崩壊や Ks →ππ崩壊を用いた粒子識別性能の研究を開始した。Belle IIの初期実験データの妥当性を検証するためにB→D(*)h 崩壊の研究も開始した。また、これは、B→DπとB→DK崩壊の分岐比の測定からQCD因子化の計算の検証に有効であることがわかったので、Belle実験のデータを用いて研究できるように、予備的な研究を開始した。その他、Belle II実験の運転時のデータ収集シフトなどを適宜担当し、実験遂行に貢献した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
B中間子のセミレプトニック崩壊B→D*lνの再フィットの研究はKEKの理論グループなどとも共同研究しながら概ね順調に進んでいる。平成31年度終盤には新型コロナウィルス感染症の影響で、学会や国際会議の参加ができなくなり、KEK外の理論研究者などとの議論ができなくなるなどの影響があったが、全体的にみれば影響は軽微である。
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今後の研究の推進方策 |
B中間子のセミレプトニック崩壊B→D*lνの再フィットの研究は一通り完了し、論文としてまとめることができた。この後は、B→DπとB→DK崩壊の分岐比の測定からQCD因子化の計算の検証するため、Belle実験データを解析する。並行して、B→D*lν崩壊やその他の方法によるアキシオン様粒子探索の手法についても研究する。
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