研究実績の概要 |
B中間子のセミレプトニック崩壊B→D*lνのBelleの最新の測定結果を用いたVubの測定についての研究を引き続き行うとともに、B中間子のセミレプトニック崩壊における新物理探索手法の探索を継続した。また、Belle IIの初期実験データの妥当性を検証するためにB→D(*)h 崩壊の分岐比の測定を行ったことと関連する研究で、QCD因子化の検証に有効な測定として、B→DπとB→DK崩壊の分岐比の測定を、Belle実験のデータを用いて行った。Belle実験グループ内部の審査を受けて、実データを解析する許可を得て解析を行った。その結果、理論の予想と矛盾しない測定結果が得られ、論文にまとめるとともに、国際会議にて発表した。この結果は、理論の研究者にも注目され、議論を行っている。 並行して、B中間子の崩壊中に重いQCDアクシオンaを探索する解析を開始した。重いQCDアクシオンはアクシオン様粒子の一種で、ハドロンに崩壊する。この研究では、1.5 GeVから2GeVの質量領域に感度がある、B→Ka, a→KKπの崩壊モードで、aを探索することにした。シミュレーションを用いて解析方法を確立し、Belleのデータを用いれば、これまで実験的制限がない領域にも探索の感度があることを示すことができた。ここまでの研究でWaheed氏の特別研究員の任期は終了したが、この後も引き続き共同研究を行い、測定を行う予定である。 この他、Belle II実験内では、粒子識別装置のAerogel RICH検出器の運用に貢献するとともに、Belle II実験の運転時のデータ収集シフトなどを適宜担当し、実験遂行に貢献した。
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