研究課題/領域番号 |
19F19333
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
栄長 泰明 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (00322066)
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研究分担者 |
FIORANI ANDREA 慶應義塾大学, 理工学部, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2019-11-08 – 2022-03-31
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キーワード | 電気化学発光 / ダイヤモンド電極 |
研究実績の概要 |
ホウ素をドープした導電性の「ダイヤモンド電極」の機能として、近年電気化学発光用の電極材料としての機能が見出されており、注目を集めている。例えば、通常電極では起こらない「共反応物フリー」のECLシステムの構築が可能である(J. Am. Chem. Soc. 2016)。しかしながら、ダイヤモンド電極を用いたECLシステムに関する研究はほとんどなされておらず、さらなる高機能システムの構築が期待されている。本研究、特に本年度は、特に活性化学種を効率的に生成できるダイヤモンド電極の特徴を生かしたさらなる新規な電気化学発光システムの開拓、およびそのシステムを利用した免疫測定装置等への応用展開を目指して、以下の検討を行った。 本年度ははじめに、ダイヤモンド電極に特異的である「炭酸イオンの酸化による過炭酸の生成」を用いた新しいECLシステムの構築を行った。過炭酸を経て過酸化水素が効率的に生成し、電気化学発光現象を実現することに成功した。この現象は、従来電極材料であるグラッシーカーボンや白金電極では観測されず、ダイヤモンド電極特有であることがわかった。さらに、ベンチマークとして、従来電極材料で検討されてきた系である、トリス(ビビリジン)ルテニウム錯体/トリプロピルアミンの系における電気化学発光について調べたところ、安価な界面活性剤を適度に添加することによって、低電位での発光に成功した。この現象は、やはりダイヤモンド電極に特有のものであり、優位性を示すことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、ダイヤモンド電極特有の電気化学発光現象の発見に成功しただけでなく、従来の系(トリス(ビビリジン)ルテニウム錯体/トリプロピルアミン)をダイヤモンド電極に適用したところ特異な現象が見られた。このような展開は、おおむね当初の計画通り順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
電気化学発光現象を示す従来の系である、トリス(ビビリジン)ルテニウム錯体/トリプロピルアミンの系においてダイヤモンド電極を適用した特異的な結果について、その優位性も含めた原理検証を行い、新規システムとして学術論文にまとめる。一方、トリス(ビビリジン)ルテニウム錯体/ルミノールの系などの新規な系に展開して、免疫計測装置への応用も視野にいれた展開を目指す。
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