研究課題/領域番号 |
19F19336
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
堂免 一成 信州大学, 先鋭領域融合研究群先鋭材料研究所, 特別特任教授 (10155624)
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研究分担者 |
XIAO QI 信州大学, 先鋭領域融合研究群先鋭材料研究所, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2019-11-08 – 2022-03-31
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キーワード | 粉末光触媒 / 酸硫化物 / 硫化 / 水素生成 / 可視光 |
研究実績の概要 |
再生可能エネルギーを用いて水素を大規模に製造する方法として,粉末光触媒を用いた太陽光水分解反応が研究されている.しかし,粉末光触媒を懸濁液としてそのまま大規模展開することは実用上難しい.また,太陽光水素エネルギー変換効率の一層の向上に向けて,長波長の可視光照射下で高効率に水を分解する粉末光触媒材料の開発が不可欠である.本研究では,金属ナノ粒子と可視光応答性粉末光触媒の複合化を通じて,シート状に固定した状態でも高効率に水を分解可能な光触媒系の開発に取り組む. 令和元年度はLa5Ti2Cu0.9Ag0.1O7S5やY2Ti2O5S2等の酸硫化物光触媒の調製法の改良に取り組んだ.従来,La5Ti2Cu0.9Ag0.1O7S5は真空封管中での固相反応で合成されていたが,前駆体酸化物の調製条件や硫化条件を詳細に検討することで,硫化水素気流下での加熱(硫化法)によっても合成可能であり,さらに粒成長を抑えられることがわかった.硫化法で合成したLa5Ti2Cu0.9Ag0.1O7S5の光触媒活性は初期検討では低かった.しかし,後処理や助触媒の担持方法を改良することで,固相法で調製した試料の活性を上回る比較的小径のLa5Ti2Cu0.9Ag0.1O7S5を合成することが可能となった.また,Y2Ti2O5S2に関しては,固相反応による合成の再現に成功したが粒径が非常に大きいことが確認されたため,硫化法を利用した小径の試料の合成に着手した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
出産・育児にかかる中断のために研究期間が3か月未満と短くなったが,硫化法を用いることで従来よりも高活性で小径なLa5Ti2Cu0.9Ag0.1O7S5光触媒粉末を合成することができた.La5Ti2Cu0.9Ag0.1O7S5光触媒は令和2年度も硫化法による合成の改良を続ける必要があるが,光触媒として十分に機能しているため,これを用いた光触媒シートの開発にも着手可能となった.したがって、おおむね順調に研究が進展したと考えている.
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今後の研究の推進方策 |
令和元年度の研究成果を踏まえ,令和2年度は硫化法を利用した小径で高結晶性のLa5Ti2Cu0.9Ag0.1O7S5及びY2Ti2O5S2粉末光触媒の合成に継続して取り組む.硫化,後処理,助触媒担持の各条件の最適化を進め,粉末懸濁液としての光触媒活性を最大化させる. 得られた光触媒を用いて,水素生成用と酸素生成用の2種類の粉末光触媒が導電性材料と複合化された光触媒シートを作製し,活性や反応特性,それらに影響する物性を検討することで,水分解反応に高活性な光触媒シートの開発を目指す.
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